- 解剖学は難しくて覚えられない
- 解剖学なんてどうせ働きだしたらほとんど使わないんでしょ?
- 解剖学の授業がつまらなくて集中できない
実は上記の悩みは私が学生の時に思っていたものでした。あなたが同じような疑問を抱えている場合はこの記事で解決できるでしょう。
なぜなら、理学療法士として働いている私が10年以上の臨床経験を基に学生では気付けなかった勉強方法を伝達していくからです。
結論から言うと、本記事では解剖学の学習において効果的な方法として、ボトムアップアプローチとトップダウンアプローチを組み合わせた勉強法を紹介します
解剖学は暗記の学問で退屈で苦手な人が多いと思います。しかし、理学療法士または作業療法士の場合、臨床での問題点解決のために解剖学が必要です。
そのため、記事の前半では「そもそもなぜ、解剖学が必要なのか?」を、後半では「ボトムアップアプローチとトップダウンアプローチの勉強法」を解説します。目的が明確になることで解剖学の必要性が実感でき、勉強に集中できるようになります。
解剖学の勉強方法をまとめました。
そもそもなぜ解剖学が必要なのか?
身体を治すためには人体を理解することは必須です。なぜなら、基礎的な知識が集約して手技・テクニックが身につくからです。
解剖学は生物体の正常な形態と構造を研究する学問であり、生理学、運動学とならんで基礎的な医学知識になります。
解剖学を学ぶことで、身体の内部構造や機能に関する知識が深まり、臨床において正確な評価や適切な治療計画の立案が可能となります。
日本医学の父、北里柴三郎にはこんな名言があります。
「大業を成さんとするなら、各人がそのための基礎を固めるべきであり、その基礎とは自分自身の勉強です。どんなに志があっても力がなければ他人はその人を信頼しない」
〈北里柴三郎の名言からの学び。[全ては基礎から始まる] (tomo8language.com)〉から引用
何かを成功させたいためには基礎が大事ということですよね。つまり、セラピストとして活躍する場合、基礎である人体の構造を理解しなければ成功できないのです。
理学療法士・作業療法士の解剖学の大事さの理解が難しい場合はテレビで例えてみましょうか。もしテレビが映らなくなった場合、あなたはどうしますか?
テレビに詳しい業者に修理を依頼しますよね。業者はテレビの構造を知っているためトラブルに対応できます。
これはセラピストも一緒です。身体の内部構造や機能に詳しいから身体のトラブルの時に活躍ができるのです。
解剖学の大切さは理解できましたが、どうやって勉強していけばいいでしょうか?前提としてコツコツと勉強していくことが重要ですが、今回はボトムアップアプローチとトップダウンアプローチを用いた勉強法を伝えます。
ボトムアップアプローチとトップダウンアプローチを用いて解剖学の勉強を工夫する
学校の授業での解剖学はいわゆるローラー作戦です。これでは眠くなる話を淡々と聞くだけの退屈な時間ですよね。
退屈の理由は明確です。この解剖学の知識が将来的にどうやって活躍するか分からないからです。例えるならば、目的もなく歩いているだけの状態です。そのため、ボトムアップアプローチとトップダウンアプローチを用いて勉強方法を工夫していきましょう。
ボトムアップアプローチとトップダウンアプローチとは?
ローラー作戦のことをボトムアップと言います。ボトムアップの反対はトップダウンです。
「ボトムアップ」「トップダウン」とは?意味と違いが10秒で分かる (unchi-co.com)ではボトムアップとトップダウンを簡潔に解説しています。
ボトムアップとは、現場からの提案(意見やアイデア)を基にして、トップが「組織としての意思決定」を行う管理方式のこと。
「ボトムアップ」「トップダウン」とは?意味と違いが10秒で分かる (unchi-co.com)
トップダウンとは、「トップ(会長・社長・役員など)」が「意思決定」を行い、下の構成人員へと指示を流し、下層部(現場)がそれに基づいて行動していく管理方式のこと。
「ボトムアップ」「トップダウン」とは?意味と違いが10秒で分かる (unchi-co.com)
ボトムアップ・トップダウンは主に企業経営における意思決定の型として使われています。どちらも大切な考えであり、ボトムアップ・トップダウンはどちらが優れているというわけではありません。
学校の解剖学の授業はボトムアップの方法です。トップダウンの解剖学勉強法を知ることで2つの組み合わせ、解剖学の理解を深めることができます。
【おまけ】実はリハビリの臨床現場では評価・治療の際にボトムアップ・トップダウンの考えが必要です。今回はその考えを勉強に応用することを提案しています。
トップダウンアプローチは問題点を解決するために勉強すること
トップダウンで問題点(目標)を見つけて原因(過程)を考えることで「ただの解剖学」が「治療のための解剖学」に変わります。
治療のための解剖学だと勉強した分だけ結果が出るので楽しくなってきますよね。なぜなら、目標が達成できると自己成長ができ充実感が得られるからです。
人間は充実感が得られると、脳内の報酬系が活発になり、勉強=ご褒美に変わっていきます。以下で例を挙げてみましょう。
例:膝についてのトップダウン・ボトムアップアプローチ方法
トップダウンでの勉強では臨床上の問題点を目的にしましょう。なぜなら、臨床―解剖学をリンクするためです。
学生時代は「膝の解剖学」の勉強は大腿脛骨関節や大腿膝蓋関節を構成する組織を絵に描いたりして覚えていきますよね。これはボトムアップでの勉強方法であるためトップダウンの勉強法を組み合わせます。
ここでのトップダウンアプローチ方法は、膝の痛みや関節可動域を改善するために必要な解剖学を勉強することです。
「膝の痛みに解決」を目的にした場合
具体的には問診と一緒で、膝のどこに痛みがあり、どんな時に痛みがあるのか、逆にどんな時に痛みが和らぐのかなどを考えていきます。
そして、膝の内側に痛みがあれば内側はどのような構造をしていて、どのような特徴があって、どんな筋肉や靭帯が付着しているのか?と考えて問題になっていそうな組織を見つけていくためには解剖学の知識が必要となります。
「膝の関節可動域拡大」の場合
運動学や生理学の勉強も必要になりますが、なぜ可動域が得られないかを考える必要があります。
可動域を制限している原因が痛みなのか、軟部組織性の制限なのか、皮膚、筋肉、靭帯なのかを評価するためには解剖学にて骨の構造や筋肉、靭帯、神経などの走行の解剖学知識が必要です。
このように臨床上の問題を解決するためには必ず基礎である解剖学が必要になります。実際に仲間で問題を与えて触診も含めて行うことで退屈な解剖学の勉強を楽しい解剖学の時間に変えられます。
おまけ:他の教科でもこの方法は使えるか?
結論から言うと、他の教科も応用が可能です。なぜなら、学校の授業は臨床で必要なものばかりだからです。
特に基礎的な解剖学や生理的、運動学は理学療法士・作業療法士として働く以上はどこで活躍しようが関係なく必要になります。有効に活用していきましょう。
まとめ
今回は理学療法士の経験から違った視点から解剖学の勉強方法をお伝えしました。前半では改めて解剖学は理学療法士・作業療法士には必要な知識あることを伝えました。
記事の後半はボトムアップ・トップダウンの考え方を具体例を挙げて解説し、解剖学と臨床がリンクする勉強方法をお伝えしました。
この方法があなたの解剖学勉強にぴったりはまれば退屈な時間が1つなくなります。早速、今日から実践してみましょう。記事の中で少し出てきた、達成による報酬系のことも記事にしていますので、よければ読んでみてください。