- 運動学を苦手で克服したいけど勉強の仕方が分からない
- そもそも運動学はリハビリをするうえで大切なの?
- 臨床で患者さん相手に運動学の知識をどうやって活かせばいいの?
この悩みを解決する記事を書きました。結論からいうと、臨床まで役立つ運動学の身につけ方は養成学校時代の教科書で勉強することから始めましょう。
運動学は名前の通り、運動を理解するためには大切な学問です。そのため、運動学の知識は人間の動作や生活能力を専門分野にする理学療法士・作業療法士にとって必須の知識となります。この記事では理学療法士や作業療法士が運動学の勉強に教科書を使用することの利点や方法についての説明と私の10年の臨床経験から得た活用方法を伝えていきます。
この記事を読めば理学療法士・作業療法士にとっての運動学の重要性が分かります。また、教科書だけでも臨床で役に立つレベルの運動学の知識を身につけることができるでしょう!
他の有効な勉強方法の記事も書いています。以下の記事も読んでください。
運動学が苦手だと感じるからこそ教科書を利用しよう!
運動学を理解するために参考書を買って勉強する人もいますが、運動学の参考書は内容がマニアックな上に持ち運びが大変なほど重たいものが多いです。マニアックな内容を見てしまうことで逆に勉強が嫌になるので、初めから参考書に頼るのはおすすめしません。
運動学を勉強するベストの参考書は教科書
養成学校時代に購入した運動学の教科書があればその教科書を活用することがおすすめの方法です。なぜなら、教科書は学問の基礎的な内容で素人でも分かりやすくまとめられている物を選んでいるからです。教科書を使用して運動学を学ぶメリットについて紹介します。
- 基礎の習得: 教科書は運動学の基本概念や理論を体系的に学ぶための貴重な情報源です。運動学の法則や解剖学的・生理学的な知識を教科書から学ぶことで、身体の動きや機能に関する基礎知識を身につけることができます。
- 動作分析や評価スキルの向上: 教科書は実際の治療や介入において役立つ具体的な手法やアプローチを提供しています。動作分析や評価方法、運動療法のプログラム作成など、実践的なスキルを磨くための情報が解説されています。
- 根拠ある知識の獲得と最新の情報: 運動学は進化し続ける分野であり、最新の研究や発見が頻繁に行われています。教科書は編集者や専門家の審査を経て出版されるため、信頼性の高い情報を提供しています。新人の理学療法士や作業療法士にとって、最新の知識を習得するために教科書を活用することは重要です。
- 自己学習と独自の学習ペース: 教科書を使用することで、学習のペースを自分自身でコントロールすることができます。自己学習のスキルを向上させることで、自分の理解度や興味のあるトピックに焦点を当てることができます。
私の場合は「基礎運動学」が運動学の教科書でした。
教科書を使った勉強方法とは?
私が実際に取り組んでいた運動学の勉強方法をお伝えします。学生時代、私は運動学に苦手意識がありました。教科書を使って勉強することで苦手意識を克服することができたので、同じ悩みの人は是非読み進めてください。
私が使用していた教科書は基礎運動学です。この本は運動に必要な物理学や解剖学・生理学の解説や、歩行や走行・姿勢やバランスなどの動きに関わる項目もあり、広い範囲を網羅しています。
大事なところから勉強を始めよう!
普通、本を読むときに最初のページから読みますが、勉強の場合は重要なところから始めましょう。なぜなら、優先して覚えるべきポイントは最初にあるわけではないからです。運動学の場合は、起始・停止や姿勢・歩行分析を優先して勉強して必要であれば解剖学や生理学を復習するようにしましょう。運動学の軸となるところから理解していきましょう。
教科書を使った授業や趣味の読書では、本をはじめから読むことが一般的です。つまり、はじめから読むことが習慣になっているのです。この習慣を一度忘れて、ここでは優先順位をつけて勉強していく方法を身につけましょう。
運動学の優先順位は身体の動き方を知ること
私が運動学の苦手意識を克服できたきっかけは「起始・停止」を理解してからでした。「起始・停止」を理解できると解剖学と生理学、運動学と物理学の繋がりが見えてきます。そのため、勉強をする必要性が分かったことで苦手意識をなくすことができたのです。
もう少し深堀します!
起始・停止は筋肉の付着部と走行を覚えます。筋肉の両端は関節をまたいで2つ以上の骨につきます。つまり、筋肉の起始・停止を覚えることで骨や関節などの解剖学的知識を身につけることができるのです。
身体の構造が頭に入ってくると筋肉の走行も分かるようになってきます。筋肉はその走行に対して収縮するか伸長するため、筋肉の収縮は関節に対してどう作用するか分かるようになります。また、片側がもう一方の付着部に近づくことを求心性収縮、逆の働きを遠心性収縮といい、生理学的知識を覚えることができるのです。
このように運動学の起始・停止を勉強したことで解剖学と生理学、運動学の繋がりが理解でき、勉強が楽しくなりました。
触診技術を身につけて苦手を克服しよう
座学で勉強して身につける以外の方法に実際に手足を動かして勉強する方法があります。実際に触り分けるためには身体を触りながら頭の中で筋肉や骨をイメージしなければいけません。触れるようになってくると筋肉の走行が分かるようになり、どのように関節に作用するかも理解しやすくなります。
座学だけでなく、実際に身体を触って覚えることで運動学を勉強している意味を理解し、苦手意識を解消していきましょう。
歩行分析や動作分析から勉強して苦手を克服しよう
座学で覚えるのが大変な場合は臨床に即した内容から必要な運動学の知識を限定して勉強してきましょう。この方法をトップダウンアプローチと言います。詳しく知りたい人はこの記事で説明しています【【若手セラピスト向け】こんなに簡単⁉ボトムアップ・トップダウンを使った評価法】。
さらに詳しく知りたい人はこちら【私の運動学勉強法】から!
運動学の教科書でも内容が難しいという人への参考書
運動学は、運動に関する科学的な知識を学ぶための重要な分野です。しかし、運動学の基礎が詰まった教科書でも専門的な用語や理論が多いため、初学者にとっては苦手意識を持つ人も多いはずです。
もし、運動学の教科書の内容が難しいと感じるならば、医歯薬出版株式会社から出版されている「PT・OT基礎から学ぶ 運動学ノート 第2版」の参考書がおすすめです。この本を勧める理由は2つあります。
おすすめ理由①運動学をドリル形式に勉強ができる
「PT・OT基礎から学ぶ 運動学ノート 第2版」は運動学の授業で扱う項目をドリル形式でまとめているのが特徴です。
300ページほどと運動学をまとめているにしてはページ数も少なく、練習問題や国家試験の過去問も多く含まれているためイラストや図・表を用いた解説などもあり、文字だらけの運動学の教科書が辛い人には使いやすいです。
また、ドリル形式の問題集は、自己学習や復習にも適しています。自分のペースで問題に取り組むことができるため、自己理解の確認や弱点の克服に役立ちます。
おすすめ理由②理学療法士・作業療法士の学校であれば図書館に置いてある
医歯薬出版株式会社から出ている「基礎から学ぶ」シリーズは参考書の中ではメジャーであり、学校の図書館で閲覧・貸出があるはずです。つまり、学生であればお金をかけずに活用することが可能です。
ただし、期末テストや国家試験前になると有用な参考書は貸し出されてしまっていることがあるため、見つけたら早めに借りておきましょう。
参考書を通じて基礎を学び、自分の興味や関心に合わせて掘り下げていくことで、より深い運動学の理解を得ることができます。ぜひ、参考書を活用して運動学の知識を広げてみてください。
リハノメで勉強するのも1つの手段
オンラインセミナーである「リハノメ」の活用も運動学の苦手を克服する1つの方法でしょう。
運動学だけを講義するセミナーはないですが、基礎~実技までの1本で学ぶことができ運動学の必要性が理解できるきっかけになるでしょう。
毎月新しい動画がスケジュールされているので新しい動画も楽しみにして、登録すれば過去の動画も見放題であるため飽きることなく楽しめるはずです。
運動学の教科書で人体運動の科学を学ぼう!
運動学という学問は名前の通りで、運動のメカニズムを学べます。運動のメカニズムを理解するためには解剖学や生理学などの基礎医学知識が必要です。つまり、解剖学知識(構造)と生理学知識(機能)が合わさり、運動が可能になるのです。運動学では解剖学と生理学の復習を兼ねて勉強していくことが大事です!
以下に運動学のさまざまな領域について紹介していきます。
①物理学の復習をしよう
運動学は物理学の原理を基にしています。物理学の基礎概念や法則について復習し、運動学の理解を深めることが重要です。加速度やベクトル、運動の法則が苦手な人は必ず復習をして理解しましょう。理学療法士・作業療法士として運動療法を処方するためには必須の知識です。
運動学では、物体が時間の経過とともに位置を変えることを「運動」と言います。人の身体も物体であるため、身体の運動は力学の手法を用いて解明することができます。運動を分析するためには、時間と空間の概念を理解し、運動を言葉として表現する必要があります。
身体の運動は物理的空間内で記述されるだけでなく、身体を中心とした独自の座標系を使って表現することもあります。この独自の座標系には基本肢位(解剖学的立位肢位、基本的立位肢位)や運動の面と軸(矢状面・前額面・水平面、垂直軸・矢状―水平軸・前額―水平軸)が含まれます。観察した運動を記述する際には、解剖学的肢位を使うことが一般的です。
身体運動の観察方法さえ理解すれば、後は物理学の復習になります。運動学では、モーメントやベクトル、てこの原理など、高校生のレベルまでで学んだ内容を再度学びます。身体も物体と同じく物理法則に従うため、物理学の知識がなければ適切な運動療法を処方することはできません。
物理学は、運動学の理解を深める上で欠かせないステップです。自身が苦手と感じる部分に重点を置き、基礎的な概念や法則を再確認しましょう。物理学の知識を持つことで、より効果的な運動療法の実施が可能となります。
②解剖学(構造)と生理学(機能)を理解しよう
運動学を学ぶ上で、解剖学と生理学の知識は必要不可欠です。なぜなら、運動には全身の器官が直接または間接的に関与しているからです。たとえば、運動に必要なエネルギーは食べ物の消化・吸収によって得られます。また、運動時の筋肉の活動には蓄えられたエネルギーが消費されます。さらに、呼吸や排泄も運動を行うためには必要な要素です。
運動に必要な解剖学とは器官系を知ることです。生体の最小単位は細胞であり、細胞が集まって組織を作ります。組織はそれぞれ独自の機能を持ったものを器官系と言います。器官系は相互作用して生体の平衡状態の維持をするよう働いています。器官系の分類は以下の通りです。
- 骨格系
- 筋系
- 消化器系
- 呼吸器系
- 泌尿器系
- 生殖器系
- 内分泌系
- 脈管系
- 神経系
- 感覚器系
難しく表現すると、生理学は生命現象の基本的な事象や要素を追求し、膜のイオン透過性や能動輸送、シナプス伝達、電気発生、興奮・抑制などを扱っています。一般生理学ではこれらの基本的な現象や原理を研究し、器官生理学では各器官の機能や相互関係を明らかにします。
運動学においては、生理学の知識を使って構造と機能の関係を理解することが重要です。例えば、横隔膜は筋肉で構成され、収縮することによって活動します。筋生理学の目的は横隔膜の生理学的な働きを分析することです。また、呼吸という生命現象の観点から見ると、横隔膜の活動は胸郭容積の増加や急速な運動を引き起こすことに関わります。このように、呼吸器の一部として横隔膜を扱い、換気運動に果たす役割を考えることがあります。
運動学に用いる生理学の知識は構造と機能の関係を捉えるのに、システム的な視点が重視されます。
例えば、横隔膜は筋肉から成り立ち、その生理学的な活動は収縮することであり、筋活動の機構を分析するのが筋生理学の目的になる。一方、換気という生命現象からみれば、横隔膜の活動は胸郭容積の増加、急速運動を起こすことです。ここでは呼吸器の部分を構成する要素として横隔膜を扱うことになり、換気運動で果たす役割を取り上げています。
③四肢と体幹の運動
四肢と体幹の運動を理解するためには、機能解剖学または生理解剖学と呼ばれる領域で身体の機能との関連を研究します。
「基礎運動学」では、四肢や体幹の運動において、骨、関節、靭帯、筋肉などの運動器の働きを取り上げます。この中には末梢神経も含まれます。四肢と体幹の運動を理解するためにはすべての筋肉の起始・停止・支配神経を覚えましょう。
筋の働きを理解するために必要な知識は以下の3つです。
(1)起始・停止
筋肉の起始と停止を知ることで、筋肉の位置や収縮(作用)を理解することができます。例えば、大腿直筋の起始は下前腸骨棘であり、停止は膝蓋腱を介して脛骨粗面です。その作用は膝関節の伸展と股関節の屈曲であり、支配神経はL4の大腿神経です。
しかし、個々の筋の起始・停止を覚えたところで生体の動きを再現することは困難なんです。動作を見るときは起始停止の知識だけでなく他の情報も取り入れながら総合的に身体機能を判断していく材料の1つになります。
(2)運動麻痺
特定の運動の消失が麻痺筋と関連しています。針筋電図を用いて情報を得ます。これは実際の臨床ではなかなか情報を得ることはできません。
(3)特定の運動を行っている時の筋を調べる
特定の運動を行っている時に指針や筋電図を用いて働いている筋群を明らかにします。「起始・停止」や「運動麻痺」とは違い個々の筋ではなく複数の筋の動きを理解することで特定の動作に必要な筋を知ることができます。
④運動と動作の分析
運動とは、姿勢が時間的に連続して変化することです。それは身体軸と重力の関係、身体の動きの方向、身体の各部位の相対的な位置関係(構え)の変化を指します。
一方、動作とは具体的な仕事や課題と関連して行われる行動の単位です。運動を分析する際には、動作との関連性を考慮します。ここでは、運動の分析の方法を学び、臨床で動作分析に役立つ知識を身につけましょう。
例えば、「眼球」では水平方向に5°動くという「運動」、視線の移動は「動作」、話の終わりに下を向くは「行為」になります。
運動分析では、機能解剖学の知識に基づいて、重力や外力の影響、筋肉の収縮の様態など、身体運動に関与する要因を考慮します。運動分析は大きく3つの段階に分けることができます。
(1)運動の記載と細区分
運動をいくつかの段階に分けて、関節の可動域や活動筋を記録します。活動筋については筋電図を使用することでより正確な情報が得られます。
(2)関節運動と筋活動の分析
運動の各段階において、関節の運動パターンを明らかにします。
(3)運動のまとめと評価
分析の目的や基準に応じて、運動をまとめて評価します。評価方法には若干の相違が存在することもあります。
運動分析は、運動学の知識を活用して適切に行われることで、より詳細な身体運動の理解と評価が可能となります。
⑤体力と運動処方
理学療法士・作業療法士が運動学の知識を最大限活かすためには体力の知識と運動処方の方法を学ぶ必要があります。なぜなら、運動時の個人の生体反応は多様であり、年齢・性別・疾病・機能障害などを考慮して、安全な運動を個々の人に合わせて決定する必要があるからです。
体力とは、身体活動に関連する身体全体の容量や資質、能力を表す用語です。「体力がある」とは、日常生活の身体活動を精力的かつ敏捷に遂行し、緊急事態にも対応できる活力を持っている状態を指します。
運動処方とは、特定の目的のために運動を行う際に、最適な運動課題を決定することです。運動処方の対象は、以下のようなものがあります
- ①競技選手の記録向上のためのトレーニング処方および障害を受けた選手の機能回復のための運動処方
- ②一般健常者の健康の維持と増進のための運動処方
- ③疾病や障害のある個人のリハビリテーションや運動療法としての運動処方
したがって、運動処方の内容は個人の能力や希望に応じて異なるものとなります。スポーツ選手であっても高齢者であっても、対象者に適した運動処方を行うためには、あなたの知識が求められるのです。
体力や運動処方の知識を身につけることで、個々の人に最適な運動プログラムを提供し、安全かつ効果的な運動療法を行うことができるようになります。
⑥姿勢と制御
この項目で「良い姿勢」とはどんな姿勢を表すのか説明できるようになりましょう。なぜなら、良い姿勢は力学的にも生理学的にも作業効率的にもコストパフォーマンスが良いからです(もちろん、美学的にも重要です)。
人間は2本の足で立ち、移動をします。そのため、安全に移動するためには重力に抗ってバランスを保つ必要があります。このバランスを保つことを姿勢制御と言います。
良い姿勢で立っている場合は関節に負担がかかりにくく、疲れにくいため、長時間その姿勢を保持することができます。逆に、重力などの外力による重心のコントロールができなくなると、関節の負担がかかり、特定の筋が過剰に働いたり、血液循環が悪くなったりして、長時間の姿勢保持では疲労や痛みを生じてしまいます。
理学療法士や作業療法士が対応する相手の多くは、姿勢制御が不十分であり、身体に問題が生じています。良い姿勢を獲得するためには、姿勢の形や身体の重心などを学ぶ必要があります。
良い姿勢を身につけることで、関節の負担を軽減し、疲労を軽減することができます。理学療法士や作業療法士として、姿勢や身体重心などの知識を学んで効率の良い身体を作れるように指導できるようにしてましょう。
⑦歩行と走行
理学療法士・作業療法士は歩行と密接に関わっています。運動学で歩行(走行)の特徴を理解しましょう。
人間が長距離を移動できるのは、股関節・膝関節・足関節の運動協調性を保ち、エネルギー消費を最小限に抑えることができるからです。逆に言えば、協調的な運動ができなければ歩行時のエネルギー消費が大きくなり、長距離の移動が難しくなります。
歩行は年齢によって動作が変化します。小児期はよちよち歩きから発達し、成年期はエネルギー効率の最も良い歩き方をします。高齢期になると、老化により歩幅が狭くなるなどの変化が現れます。
つまり、どの年齢や個人に対して理学療法や作業療法を行うかによって、運動処方の方法や目標が変わってきます。
歩行で大事な用語は「歩行周期」です。歩行周期とは、片側の踵が接地してから、再び同側の踵が接地するまでの動作のことを指します。歩行周期は立脚相と遊脚相に分けられ、さらにそれぞれ複数の相に分けられます。臨床では、「ランチョ・ロス・アミゴス」という新たな定義のほうが使用されています。
ランチョ・ロス・アミゴス・・・着床初期、荷重反応期、立脚中期、立脚終期、遊脚前期、遊脚初期、遊脚中期、遊脚終期
走行は歩行とは異なり、両足が地面を離れて空中に跳んでいる期間があり、両足が同時に地面に接している期間がないことが特徴です。そのため、歩行と走行は似たような身体の使い方をしますが、可動域や運動のタイミングなどには違いがあります。
理学療法士や作業療法士として、歩行と走行についての知識を深めることで、クライアントの適切な運動処方や目標設定に役立てましょう。
⑧運動発達・運動学習
人は環境に関係なく、一定の運動パターンを獲得します。これは遺伝的に決定されているものです。
正常な運動発達は、中枢神経系の機能が成長することにより、下位レベルのさまざまな反射に対して上位レベルによる制御が出現することを指します。具体的には、新生児のころに見られた「把握反射」は発達していくにつれて抑制され、生後4か月を過ぎると見られなくなります。
運動学習には、状況に応じて「何をすべきか(what to do)」を判断する認知学習と、あらかじめ決められた運動課題を速く、正確に、円滑に行うために「どのようにすべきか(how to do)」を決定する動作学習という2つの要素があります。
運動学習には、状況に応じて「何をすべきか(what to do)」を判断する認知学習と、あらかじめ決められている運動課題を速さ、正確に、円滑に行うために、「どのようになすべきか(how to do)」を決定する狭義の運動学習とに分かれます。
人は運動発達だけでなく、さまざまな運動パターンを学習することで、身につけた運動を組み合わせることができます。つまり、学習ができることによって、学校の成績が向上したり、運動パフォーマンスが改善されるのです。運動学習は私たちにさまざまな能力を身につけさせてくれるのです。
まとめ
今回の記事のおさらいをします。このブログでは、運動学の基本的な概念や重要なポイントについて解説しました。運動学の分野は広範であり、力学や生理学、運動制御、姿勢、歩行と走行、運動発達・運動学習など様々なトピックが含まれます。
- 運動学の勉強は教科書で行うのがベスト
- 運動学だけで運動に必要な解剖学や生理学の知識も身につけることができる
- 運動学の勉強ポイントをいくつかにまとめた
- どうしても教科書で出来ない場合はドリル形式の参考書である「PT・OT基礎から学ぶ 運動学ノート 第2版」で勉強することを勧める
運動学の勉強は、理学療法士や作業療法士などの専門家にとって重要な要素です。運動学の知識を習得することで、人間の運動に関する理解が深まり、患者さんへの適切な指導が可能となります。
最後に、運動学の学習は一朝一夕で身につくものではありません。継続的な学習と実践を通じて、自身の知識と技術を向上させていくことが重要です。
ぜひ、このブログで紹介したポイントを参考に、運動学の知識の習得と実践的な応用に取り組んでください。
他の運動学の勉強方法を知りたい方はこちらをお読みください。