あなたはどうして理学療法士になることを目指したのですか?
私の場合は身体を学べるということと意味のある大学生活にしたいと思ったからです。
程度の大小はあれど、何かしらの魅力を感じたからなっているはずです。
今回は約8年臨床経験を積んできて理学療法士という職業のメリット・デメリットを6つ挙げて解説します。
そして、デメリットは今後の働き方次第では解消されていくかもしれません。
デメリットの解決方法もお伝えしています。
結論から言うとデメリットをいかに改善していくかが大事です。
この記事を読んだ人の中で理学療法士という職業を活かしメリットを増やし、デメリットを減らす活躍をしてくれる人が増えてくれればと嬉しいです。
メリット
このメリットが多ければ多いほど魅力のある職業ということですね。
魅力に感じれば仕事をするのも苦ではないですから、長く続けることが出来ますね。
私なりに6つをメリットとして挙げて、まとめてみました。
国家資格
理学療法士は国家資格です。
国家試験を受けて合格すれば国からの認定を受けている資格を手に入れることが出来ます。
合格率は2020年度からの過去5年で83.6%であり、しっかりと勉強と対策をすれば合格できる難易度です。
理学療法士と名乗ることが出来るのは理学療法士の国家資格を持っている人だけです(名称独占)。
周りの人に国家資格で病院の仕事をしているというと尊敬されることがあります。
とても嬉しい気持ちになりますが、期待を壊すことをしないように注意しましょう。
仕事の内容は意外と幅広い
働く場所によって同じ理学療法でも仕事内容に差が出ます。
そのため、理学療法士としての仕事を経て色々な経験が積めます。
例えば
急性期の病院…救急車をで入院してきた人で状態が不安定であっても廃用症候群を予防するためにも医師の指示があれば介入をしていきます。
つまり、運動方法の技術というより、病態やリスク管理の知識や技術がとても必要になります。
外来が中心のクリニック…患者さんの悩みや問題を知識や徒手的な技術を駆使して解決し、再発しないよう指導もしていきます。
こちらは、入院と違い毎日の介入は難しいので短時間での評価と適切な運動アプローチを提供する必要があります。
当たり前ですが、身体の動き方や筋肉の触り方、疾患などの基礎部分の知識や技術はどちらも必要です。
しかし、活躍する場所によって身に付ける優先順位が変わっていくため、仕事内容に差が出るのです。
安定した収入
多くの理学療法士は病院やクリニックなどの医療施設に勤務しています。
人は景気が良くても、悪くてもケガや病気になってしまうため、医療施設でリハビリが必要になる場合もあります。
そのため、仕事がなくなるということはなく安定した収入を得ることが出来ます。
理学療法士の業界動向(給与水準や雇用状況など)を調査してみると、平均年収は約406万円とされています。(厚生労働省 平成28年賃金構造基本統計調査より)平成27年度の国民生活基礎調査によると日本国民の所得は427万円(中央値)とされているため、理学療法士は、ほぼ平均的な給与が得られることがわかります。
マイナビコメディカルより
上記の引用分から、理学療法士は平均的な給与が得られているとのことで、普通に生活して行くことが可能な収入となります。
また2025年問題があと数年で必ず起こります。
2025年の日本は、団塊の世代が75歳を超えて後期高齢者となり、国民の3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上という、人類が経験したことのない『超・超高齢社会』を迎える。これが『2025年問題』です」(前出・松谷氏)
週刊現代より
医療施設としては高齢者が増えることにより、病気やケガで理学療法を必要とされる人が増えることに対応できるよう、理学療法士の人員を確保しようとしています。
そのため、現在は好条件でたくさんの求人が展開されています。
良い条件で仕事ができればより安定した生活を送れるようになるでしょう。
人に詳しくなる
学生時代に勉強していた運動学や生理学が、理学療法士として働いていくと大切なことだと実感できます。
例えば、よくある質問に「足がむくむ原因は?」や「効率よく筋力を鍛える方法は?」などがあります。
多くの一般人が解決する手段を持っていないのです。
そして、日常生活に支障が出てはじめて解決する手段を探そうとするのです。
私たちは解決する手段を知識として持っており、質問を受けて分からなければ調べることで今後の仕事に役立つことができます。
患者さんの人生経験を参考に、将来私たちにも起こるであろう問題点を解決する手段を持つことが出来るのです。
患者さんの悩みを解決すればするほど人に詳しくなっていくことができるのです。
自分の成果がわかりやすい
理学療法は他の業種と比べて自分の成果がわかりやすいと考えています。
他の業種では自分の仕事が何に貢献できているかわからないことがあるかもしれません。
理学療法は患者さんの問題を解決できればすぐに成果を実感できるのです。
『人に詳しくなる』と少し重なりますが、知識や技術の引き出しがあればあるほど成果が出しやすくなります。
目に見える成果はモチベーションを高くしてくれます。
さらに勉強してまた成果が出せるとどんどん勉強したくなるはずです。
自分は勉強したことが成果として現れ、患者さんは良くなっていることを実感できるため、どちらにもメリットがあります。
モチベーションが上がることで楽しく仕事を行うことが出来ます。
プライベートの時間がある
自由に使える時間があるのはとても重要です。
知識や技術を身に付ける、友達と遊ぶ、趣味を楽しむなど仕事中ではできないことをするのはストレスの軽減にもつながります。
私は全ての医療施設を経験したわけではないですが、話を聞いた限りでは大学病院などの急性期は残業が多いようです。
どうやら急性期の病院が残業の多い理由としては急な入院・退院と、それに伴う報告書などの作成が多いためです。
それでも将来を見据えると経験年数の若いうちにたくさんの経験を積むことは後々のメリットにつながっていく可能性があります。
私は職場や実習先では回復期や一般病院でしたが、遅くまで続くような残業は少なかったです。
そのため、仕事終わりにジムで運動をしたり、スポーツを楽しむことが出来ています。
プライベート時間を有意義に使うことでのストレスの軽減は気持ちを前向きにしてくれて人生が楽しく感じます。
デメリット
デメリットの数が多ければ多いほどこの仕事の魅力が少なくなります。
私は以下のことがデメリットに感じます。
デメリットの中にも対策によって改善できるのものあると思っていますので、解決方法も書いています。
国家資格とは名ばかり
国家資格を取っても理学療法士だけができる業務があるわけではありません。
いわゆる、業務独占ではなく、名称独占なのです。
そのため、行うだけであれば何の資格もない素人が理学療法と同じことをしても問題はないのです。
しかし、資格のない人が言うよりは国家資格を持っている人が言ったことの方が信頼できるので、優位性を持つことが出来ます。
働けるエリアが狭い
理学療法の知識や技術を有効に使える分野が医療系以外にないと感じているからです。
なぜなら、「理学療法×○○」の組み合わせが少ないからです。
最近は様々な分野で「IT」という言葉を聞くことが増えていますが、「理学療法×IT」の話は聞いたことがありません。
現在の理学療法という仕事内容が機械をあまり使わないことが原因の一つかもしてません。
今はデメリットですが、未開拓の考え方という発想(ブルーオーシャン)とも考えられます。
そのため、「理学療法×○○」でこれから活躍していく人が増えていく可能性に期待します。
収入は増えない
医療施設で働く理学療法士の収入は減ることは少ないが、増えることも少ないのです。
働き始めの若いころは周りと比べてもそこそこの収入ですが、結婚や子育てなどのイベントが増えてくる世代になると上手く家計をやりくりしなくてはいけません。
また昇給額も少ないことが多く、一般企業と違い経験年数や年齢の割に収入が増えていきません。
転職して今より給料の良い職場で働くことで解決するかもしれませんが、自分の望む働き方ではないかもしれません。
マニュアルがない
職場の業務や大まかな入院のマニュアルはあるかもしれませんが、理学療法のマニュアルはありません。
なぜなら、その人に合った評価・治療や目標設定が必要だからです。
また術後のプロトコルはありますが、必ずしもプロトコル通りに上手くできることはないです。
その場合も主治医と相談して理学療法を進めていく必要があります。
また同じ年齢、性別、疾患でも望む目標が「トイレに行けるようになりたい」と「スポーツ復帰」だとすると治療内容も変わっていかなければなりません。
そのため、大まかな流れはありますが、マニュアルに沿うだけで済む仕事ではないのです。
体力仕事である
長時間の立ち仕事や座り仕事ではないのですが、体力や力を使う仕事なのは確かです。
今はまだ体力が十分ですが、定年間近でも同じような仕事量が可能かどうかは疑問です。
リハビリの管理職や経営者になれれば、定年に近い年齢でも活躍できるかもしれません。
しかし、理学療法士の数が増え続けいてる現在、すべての人が管理職や経営者になることは難しいと思います。
若くて体力のあるうちから将来を見据えた行動をしておくと良いでしょう。
また、体力が落ちないように時間を作り運動する機会を作りましょう。
勉強し続ける必要がある
どの仕事もそうですが、理学療法士も勉強をし続ける必要があります。
理由としては、マニュアルがなく全く同じ症例の人はいないのが1つあります。
症例に合わせた理学療法を経験と知識と技術を組み合わせて提供していく必要があります。
そのため、勉強をして常にアップデートしていく必要があります。
しかし、知識や技術を身に付けたいと思っても専門書は1冊の値段が高く気軽に購入できません。
研修も1日研修だと1万円くらいは参加費として掛かってしまい、1か月に1回行くだけでも年12万円の出費が必要になります。
勉強したいと思っても状況的に経済的な理由で断念せざる負えない場合もあります。
解決策としては理学療法士の勉強仲間を作ることです。
お互いに教えあうことでインプット・アウトプットが可能になり、費用も安く済むこともあります。
なにより仲間とやることで飽きにくいです。
継続して勉強できるためには仲間作りは重要な要素です。
もう1つは2025年に起きる日本の人口問題です。
先ほどはメリットとしてあげましたが、長期的に考えるとデメリットとなります。
なぜなら、2025年に日本の高齢者人口がピークになるということは、それ以降は減少していくことになるからです。
理学療法士の数は増えていきますが、主な対象となっている高齢者は減っていることが予想されます。
人類が生きている限り、理学療法士という仕事はなくならないと考えています。
しかし、今後は成果を出せる理学療法士が生き残れる時代になるかもしれません。
そのため、長期的な視点で見ると生き残るために勉強をしなくてはならないのです。
また、「理学療法士×○○」で職域を広げるという考えを持つことで違う分野で仕事ができるかもしれません。
終わりに
いかがだったでしょうか。
私はこの仕事が好きなので、ずっと関わっていきたいです。
そのため、私なりにデメリットの部分を解決できるよう考えて実践したいきます。
良い結果が出れば記事でお伝えして魅力たっぷりの仕事になって欲しいです。
以上、「8年の経験から理学療法士のメリット・デメリットを各6つ考えてみた」をお送りしました。