- 運動学の勉強が難しいから効果的な学習方法を知りたい
- 運動学の理解をより深めるためには、他にどのような学習方法があるんだろう
- 勉強しているけど、この方法でいいのか分からないからヒントが欲しい
上記の悩みを解決する記事を用意しました。理学療法士や作業療法士として活躍するうえで学校のテストでも実際の臨床でも必ず身に付けておきたい運動学。今回の記事は理学療法士である私のこれまでの経験で効果的だと思った勉強方法をお伝えしていきます。
なぜ、私が運動学の勉強方法について書くのかというと、理学療法士として臨床を10年経験した中で運動学の大切さを実感したからです。また、学生時代から臨床にも活用できるよう考えながら勉強していたため当時の考えもお伝えしていきます。臨床に活用できる運動学が身につく勉強方法は、結果的に養成学校での成績向上や自信の向上につながりました。
今回の記事では前半で運動学がなぜ大切なのかを解説し、後半は私の経験を踏まえた運動学の勉強方法を解説します。
この記事を読み終えることで、運動学の必要性を理解し、効果的な勉強方法を見つけることができるでしょう。
運動学の勉強方法をまとめてみました→【運動学勉強法まとめ】苦手な運動学を克服!10年目のPTが今も運動学を好きでいる勉強法
運動学は人の動きを知るための学問
養成学校で学ぶ内容はどれも理学療法士や作業療法士として働くうえで大切です。その中でも特に運動学は人の身体の動きを知る学問であるので、運動学を理解していないと的確な徒手療法や運動療法を行うことができません。われわれセラピストは他職種と比べ、人の身体に触ることで結果を出します。運動学は基礎からしっかりと理解して様々な場面で応用できるようにしましょう。
基礎知識を理解するための3つの方法
運動学を学ぶ上で重要な第一歩は、基礎知識をしっかりと理解することです。私は特に、解剖学、生理学、運動学を理学療法士の基礎だと感じ、重点的に勉強をしました。以下に、私が行っていた基礎知識の獲得に役立つ方法を3つ紹介します。
- 教科書を活用しよう
- 実技練習をしよう
- 1人ではなくグループで勉強しよう
①教科書の活用しよう
一番手軽で簡単に取り組める方法が教科書で勉強することです。なぜなら、教科書に指定されている書籍は整理された知識を提供してくれるからです。運動学の基礎概念や公式、法則について理解を深めるのに役立ちます。重要な概念や図表を丁寧に読み込んで、基礎知識を固めましょう。
私は解剖学や生理学も一緒に勉強できる「基礎運動学」を教科書にして勉強していました。内容は幅広く、解剖学や生理学知識などの基礎的な部分や、動作分析や発達などの応用的な内容も勉強できます。
理学療法士や作業療法士にとって筋肉の起始・停止、作用、支配神経を覚えることは運動療法を行う上で大切です。教科書の図や表を参考にしながら自分でスケッチをしたり、スケッチした絵に名称を記入して何回も繰り返し覚えていきました。
②実技練習をしよう
運動学の基礎知識を身につけるためには、実際に物体の運動を観察したり、実技練習を行うことも有効です。自分の身体を使って体験してみるか、講義の空き時間に友人や先輩たちが行っている勉強会などに参加することで、実践的な視点から運動学を理解できます。
特に触診の実技練習をすることで運動学的な知識を実践的な視点から理解しやすくなり、触診技術が高まれば筋肉や骨などの鑑別も短時間で容易にできるようになります。
運動学の実技練習は、個人で行うよりグループで行うことで相互に学び合う機会となります。友人やクラスメートと一緒に実技練習を行い、筋肉や関節などを触りあいましょう。互いに質問を交わし、理解を深めることでより高い学習効果を得ることができます。
③1人ではなくグループで勉強しよう
運動学を学ぶ際に、個人での勉強だけでなく、グループでの学習も有益です。グループでの勉強は、理解の共有、ディスカッションなどを通じて、自分だけでは気付きにくい勉強方法や学習方法を身に付けるきっかけになります。
グループ学習では上記でも述べてあるように触診などの実技練習がより効果的です。お互いが身体の構造を理解している者同士であれば狙った部位を触れているかどうかを確認しあえます。また、治療を行って治療成果をフィードバックしてもらうことで運動学の知識を活かすだけでなく、運動療法の技術も向上できます。
基礎を理解したら他の参考書も使ってみよう
運動学で起始・停止や筋肉の働きを理解してくれば次のステップに進んでみましょう。私の場合は「筋骨格系のキネシオロジー」を参考書にして勉強しました。これは分厚くて、重くて、内容も基礎運動学と比べて難しくなっています。読破しようと1ページ目から読む場合はかなりの労力と時間を要すはずです。
この参考書は一人で勉強するというより上記で挙げたようなグループ学習が有効です。自分の得意分野から始めて、勉強した内容を仲間や友人に教えることで理解を深めることができます。また、友人から教わることで自分では知り得なかった気づきが得られます。
この方法はインプット・アウトプットの考え方です。詳しく知りたい人は以下の記事をお読みください。
臨床で役立つための運動学勉強法
運動学は、臨床で重要な役割を果たす学問です。理学療法士や作業療法士、スポーツトレーナーなど、臨床的な側面から運動学を学ぶ場合、特定のアプローチや応用方法が求められます。上記で運動学の基礎の勉強法を学んだあとは以下の方法を用いて臨床まで使えるように応用していきましょう。
臨床での経験値を増やす
あなたが新人セラピストや学生の場合は、圧倒的に臨床経験が足りていません。仲間内での実践的トレーニングを積んでいたとしても実際の症例とは訳が違います。なぜなら、実際は年齢やあなたとの信頼関係、自身の身体の理解などによって同じ悩みでもアプローチの仕方や話し方を変える必要があるからです。
円滑かつ的確に患者さんの状態を評価し、運動療法を提供するためには信頼関係が必要です。そのため、多くの人と接し、多くの悩みを解決することで臨床の経験値が溜まっていき、運動学の必要性を感じることになるでしょう。解決できない悩みに対して運動学の観点から考え、今までと違ったアプローチを行うことができるようになるのです。
臨床での経験が増えることによって必然的に運動学の知識を使う場面は増えていくはずです。
ケーススタディを行う
ケーススタディとは、臨床状況や患者さんの特定の事例についての研究や考察をすることです。運動学の勉強においては、臨床での具体的なケーススタディを検討することが有益です。他職種や仲間と共に、特定の症例に関する運動学的な問題や治療戦略をディスカッションし、知見を共有します。これにより、自分では気づけなかった考えや運動学の活用方法を知ることができ、洞察力や臨床判断力を養うことができます。
研究や文献を読む
どの分野も常に進歩しているため、運動学も最新の研究や文献を読むことが重要になります。なぜなら、最新の文献のほうが運動学をより効果的に活用できる内容になっているからです。そのため、学術論文や専門書籍、学会発表から情報を継続的に追い、最新の知識を取り入れましょう。また、研修やセミナーに出ることで講師から有益な研究や文献の情報を手に入れることができます。
臨床家であれば、毎月新しい動画が更新される「リハノメ」の活用を勧めます。講師も多く、理学療法士以外にも作業療法士や言語聴覚士のための勉強ができます。臨床に即した内容が多いですが、臨床で活かすためには基礎の内容を復習しながら研究や文献情報も教えてくれます。まだ使ったことがないのであればこの機会に登録してみましょう。
症例研究をする
臨床で役立つための運動学の勉強を進める際には、実際の症例を取り上げ、それを運動学の観点から分析することが有益です。例えば、特定の運動障害や姿勢の問題を持つ患者の症例を取り上げ、その運動パターンやバイオメカニクスを詳細に調査し、理解を深めます。このような症例研究の分析を行うことで、その過程での運動学の知識をより理解することができ、現実の臨床に応用する力を養うことができます。
まとめ
私が実践している運動学の学習方法について紹介しました。運動学はまず基礎知識の獲得が必要です。今回紹介した方法は3つ。教科書の活用、実技練習、グループで勉強する、と3つの方法をお伝えしました。これらを取り入れることで運動学はより深く理解できるようになりでしょう。
臨床で運動学を役立てるためには、まずは臨床で働き、経験値を積むことです。さらに運動学の理解を深めるためには症例研究やケーススタディを行うと有効です。臨床での患者さんの事例を通じて、運動学の知識を実践的に応用する力を養いましょう。
また、最新の研究や文献を読み、自身の情報をアップデートすることも大切です。運動学の分野も日々進化しており、最新の知識を取り入れることで臨床での能力を向上させることができます。
運動学の学習は、まずは基礎を身に付けてから応用につなげていくことが大切だと実感しています。私の勉強方法を参考にして、運動学の知識を充実させ、臨床での活躍につなげてください。