リハビリ中に色々と話を聞くことがあります。
その中でも身体の悩みを話されることも多いです。
今回はタイトルにありますが、「起き上がるときに肩が痛い」という悩みに対し、腹筋運動で痛みをとれた話をお伝えしていきます。
ポイントは起き上がりの動作分析です。
この記事を読むことで起き上がるときに肩が痛い人の悩みが解決できるかもしれません。
起き上がりの腰痛改善の記事はこちらに書いてますので、こちらもご覧ください。
症例紹介
- 70代 女性
- 変形性腰椎症
- 既往に変形性膝関節症(保存)
- 自転車は乗れている
- 階段は軽度膝痛あるが可能
- 介入当初は腰痛と膝痛に悩まされていたが、リハビリ介入により痛み軽減傾向であった
- 円背姿勢とスウェイバック
- 事情により1か月ほどお休みの期間があった
- 再開時に左側への起き上がりで肩が痛いという悩みが聞かれた
どんな運動方法をしたか?
背臥位で両膝を立てて体幹屈曲運動と回旋運動を行いました。
今回は声掛けのみのパターンと動作をサポートしながらのパターンの2つを行いました。
声掛けパターン
体幹屈曲運動は普通の腹筋運動です。
声掛けとしては
「頭から順番に起こし、肩甲骨が床から離れる程度まで行うように」です。
体幹回旋運動の声掛けは
「手を伸ばし、立てた反対側の膝の頂点を触りに行くように」です。
相手の理解が得られにくい場合は、自分が見本を示すか後述する「動作をサポート」して実際に動いてもらいましょう。
声掛けで動作が出来るようになれば自宅でトレーニングが出来るようになります。
動作をサポートするパターン
口頭で説明しても身体の動かし方が分からない場合が良くあります。
その時は自動介助運動で動きをサポートしてみます。
動作をサポートするパターンはメリットがあります。
それは、サポートすることでこちらが望む動きができたり、筋の収縮が得られることです。
つまり、代償を抑えて理想の動きを作ることが出来るのです。
今回は上肢のリーチ動作をサポートして体幹屈曲や回旋動作を行いました。
背臥位→側臥位で肘をつく(On elbow)までの腹斜筋のスイッチバックを意識して誘導しました。
どうやって問題を見つけたか?
ポイントとしては起き上がりの仕方です。
どのようにして起き上がって、どのタイミングでどこが痛くなるのかを動作分析しました。
起き上がり動作
ポイントを参考に動作を見てみると側臥位(On elbow)で肘をついて肩に荷重がかかったタイミングで痛みを感じていました。
そのため、On elbowより前の動きに問題があるのではないかと考えたのです。
そしてOn elbowより前の起き上がり方をみると、背臥位からの動作開始直後に頸部の伸展と上肢のプッシュを行って上半身を起こし、起き上がる反対側の下肢で床を蹴って下半身を動かしていました。
そのため、体幹の屈曲・回旋の動きがみられなかったのです。
代償動作
起き上がるためには腹筋を使って体幹の屈曲・回旋で起こしてくるか、上肢のプッシュアップで起こしてくる必要があります。
前者の腹筋を使って起きることはできないので、後者の上肢のプッシュでどうにかして身体を起こしていく必要があります。
その方法とは体幹の回旋の動きがないので、上肢を強く体側に引き込むことで回旋の代償をします。
そのため、支持する側の上肢はOn elbow直前で体幹回旋をさせる仕事と身体を支える仕事の2つをこなす必要があったのです。
次に、身体を支えながら肘を伸ばし(On hands)、身体を起こしていく必要があります。
衰えのある高齢者では上肢に負担がかかり、痛みが生じてしまったのです。
終わりに
いかがだったでしょうか。
同じような症例の方でも起き上がり動作指導後は肩の痛みが改善していました。
私の経験が誰かの役に立てれば嬉しいです。
私は起き上がり動作を勉強をこの本で勉強しました。
私が勉強した動作分析の本を知りたい人は下の記事をご覧ください。
以上、「起き上がるときに肩が痛いのに腹筋をしたら肩の痛みがとれた話」でした。