私は現在、クリニックで外来リハビリテーションを担当しています。
それまでは病院で入院リハビリテーションを中心に行っていました。
入院リハビリは1週間に数回リハビリをすることがありますが、外来リハビリは1週間に1,2回と時間が限られています。
早期回復のためは外来リハビリ以外での運動習慣の獲得が必須であると考えています。
そのため、わかりやすくて簡単な自主トレーニングを指導したりしていました。
しかし、仕事や環境の関係で時間が取れずに自主トレーニングができない方も多くいらっしゃったのが現状です。
自主トレーニングができれば痛みや不安がなくなるのにと思ってしまったことも珍しくないです。
外来リハビリテーションに携わってから約1年が経ちますが、どのような工夫をすれば自主トレーニングをしてもらえるか考えてみました。
今回は自主トレーニングを行ってもらうために工夫したことを記事にします。
この記事を読んでわかること
- 自主トレーニングは一人で出来ない
- 人に合わせたトレーニングを提案
- その時だけでの指導だけでは忘れる
- 紙面にして渡すのが効果的
- 次回きた時に内容を確認する
ではご覧ください。
自主トレーニングはできない
外来リハビリで自主トレーニングの必要性を伝え、トレーニングを指導しても「できなかった」という方が多くいます。
理由としては
- 他にもやることがあって時間がなかった
- めんどくさい
- 方法が分からなくなった
- 痛くて(怖くて)できない
がよく聞かれました。
自主トレーニングの提案はしますが、行うかどうかはその人の自己判断によるものです。
やらないのであればそれで終了。っと切ってしまいがちになりますが、指導をする療法士側もどうしたら自主トレーニングが行えるのかを考える必要があるのです。
運動指導だけでなく運動ができるための誘導や工夫も療法士の仕事ではないかと感じたのです。
つまり、人に合わせたトレーニングを提案していく必要があるのです。
人に合わせたトレーニング
人に合わせたトレーニングとはどんなトレーニングかというと
例えば高齢者の場合
掴まってできるトレーニングや軽負荷・高頻度、低リスクなトレーニング
社会人でデスクワーク中心の場合
仕事中の動作指導や休憩時間の取り方やストレッチのやり方など仕事中でもできるトレーニング
を指導していくべきだと考えています。
そして自主トレーニングを行う目的をしっかり伝えるのです。
例・・・蹴る力をつけるため、身体を支えるため、肩を上げるため など
また、自主トレーニングをやらないことによるデメリットも伝えています。
例・・・将来膝を痛めます、手術適応になるかもしれない、転びやすくなる など
指導内容は紙面にして渡す
ここが私の中で一番意識が変わったポイントです。
相手が若い人でもその場での運動指導のみだと忘れてしまい、継続できないのです。
指導内容は「肩甲骨から動かす」ことや「大きく足を動かす」など極力簡単で理解しやすいように伝えていました。
しかし、相手のほとんどは身体のことを勉強してこなかった人、つまり素人であるため、運動の仕方や習慣が身についていないのです。
そのため、こちらが凄く簡単な自主トレーニングメニュを伝えてもしばらくすると忘れてしまい運動機会が増えないのです。
解決策としては紙面にして渡すことです。
そして、なるべく絵や図があると視覚的にもわかりやすいです。
紙面にして渡す方法を実践したところ自主トレーニングをしてきてくれる人が増えてきたように感じました。
紙があると見ながらできることがメリットの1つですが、もう1つあります。
それは目につくところに紙を貼っておくことで視覚に入りやすく運動するきっかけになりやすことです。
目につくところは人それぞれですが、
- 冷蔵庫
- イスの背もたれ
- ドア
- テーブル
に貼っている意見を多々聞かれました。
おすすめの簡単な自主トレーニングの本があります。
医歯薬出版から発売の「リハビリテーション・ホームエクササイズ CD-ROM付―患者さんに渡せる自主トレーニング127」です。
自主トレーニングをするのであればコピーをとっても良いとお墨付きです。
予め良く使う運動はコピーをしておいてパッと渡せるようにしています。
私もよく使わせていただいているので参考にしてください。
来院時には再確認をする
自主トレーニングを伝えた次に来た時に自主トレが出来ているかどうかと、内容があっているかどうか、負荷量がどうかを確認しましょう。
必要であれば自主トレの内容をグレードアップさせていきましょう。
終わりに
いかがだったでしょうか。
自主トレーニングをいかにしてやって頂くかを考えてみました。
相手に任せるだけでなく、療法士も自主トレーニングが出来るように工夫をしていかなくてはいけませんね。
以上、「自主トレーニングをやってもらうために」でした。