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運動学の学び方

【運動学から学ぶ】片脚立位トレーニング方法

  • バランス感覚を片脚立ちで鍛えたいけれど、効果的なエクササイズを知りたい。
  • 片脚立ちの練習でうまくバランスが取れないのはなんで?
  • 運動学で学んだ知識をトレーニングに活用したい!

上記の悩みを解決する記事を用意しました。転倒をしないようにバランスを保つには運動機能、感覚機能、平衡機能などの要素があります。リハビリの臨床場面では簡単で簡易的なバランスの評価方法として片脚立位を実施します。

片脚立位トレーニングはシンプルな評価方法であり、効果的なエクササイズですが、正しい方法を知らなかったり、バランスを保つのが難しかったりすることがあります。そのため、今回の記事では運動学の原理を基にした効果的な片脚立ちのトレーニング方法を紹介します。

片脚立位が生活のどう影響があるかは過去の記事を参考にしてみてください。

【疑問】日常生活で片脚立位はどう関わるの?【解決】片脚立位はバランスを評価するときに大切な項目ですが、片脚立位保持できることが日常生活のどの場面で関わっているのかと疑問に感じました。...

また、運動学の勉強方法を知りたい場合は下記の記事を参考にしてください。

【運動学勉強法まとめ】苦手な運動学を克服!10年目のPTが今も運動学を好きでいる勉強法運動学は解剖学・生理学と並んで理学療法士で活躍するには重要な基礎知識です。 なぜなら、私たちの活躍する場面は運動療法がメインだからです。 理学療法士・作業療法士は運動学や解剖学・生理学の知識を使って評価をしていきます。今回は運動学の勉強方法をまとめました。...

安静立位時の筋活動(抗重力筋)を知ろう!

下記の本を参考にしています。

安静立位時の筋活動は、私たちが立っている時に、姿勢を維持するために働く筋肉(抗重力筋)の活動を指します。この姿勢の状態では、我々の体重が地面にかかり、バランスを保つためにさまざまな筋肉が協力して動作しています。

私たちが立っているときには抗重力筋が働くことでバランスを崩さずに保つことができます。「基礎運動学」によると主要姿勢筋と呼ばれる筋肉がバランス保持に関与しています。

安静立位姿勢を保持するための抗重力筋のうち、頸部筋、脊柱起立筋、大腿二頭筋及びヒラメ筋を主要姿勢筋(prime postural muscle)と呼んでいる。

中村隆一(リハビリテーション)/齋藤宏(運動学) 医歯薬出版 2003年12月
基礎運動学第6版 p.348

主要姿勢筋の他にも下肢では中殿筋や大殿筋、腓腹筋、後脛骨筋、長趾屈筋、長母指屈筋、長母指外転筋、小趾外転筋が立位保持のために働きます。

体幹部では、僧帽筋、菱形筋、半棘筋、板状筋、腹斜筋群、腹横筋が働きます。また、上肢では、三角筋、棘上筋が関わってきます。立位姿勢によっては大腿四頭筋や前脛骨筋も働きに関わってきます。

安静立位時の筋活動は、日常生活で欠かせない重要な要素です。正しい姿勢を維持し、バランスを取るためには、これらの筋肉を鍛えることが大切です。

3つの姿勢戦略(ストラテジー)を知ろう!

立位を保持するためにはどうにかして重心を支持基底面内に留める必要があります。重心動揺を0にすることは出来ず、重心は絶えず動いています。そのため、人は立位時に3つの姿勢戦略(ストラテジー)をとってバランスを崩さないように保っています。

  1. 足関節戦略(ストラテジー)
  2. 股関節戦略(ストラテジー)
  3. ステップ戦略(ストラテジー)

①足関節戦略(ストラテジー)

足関節戦略は、片脚立ちや動作の際に足首の安定性を高めるための戦略です。足関節は体重を支え、バランスを保つ上で重要な役割を果たしています。足首周りの筋肉で、正確な足首の動きと姿勢のコントロールを行います。

主に外力が弱い時に足趾と足関節の背屈または底屈での姿勢制御をします。

②股関節戦略(ストラテジー)

股関節戦略は、片脚立ちや動作の際に股関節の安定性と可動性を高めるための戦略です。股関節は上半身と下半身をつなぐ重要なジョイントであり、動作の安定性とパフォーマンスに影響を与えます。

足関節戦略でも制御できないほどの外力の場合は股関節の屈曲・伸展を加えて姿勢を制御します。

③ステップ戦略(ストラテジー)

ステップ戦略は、動作の際に、ステップをうまく活用して姿勢とバランスをサポートする戦略です。ステップは、体重を移動させることで姿勢や動きをコントロールする上で役立ちます。

足関節戦略、股関節戦略どちらでも制御ができない場合は片足を踏み出して新しい支持基底面を作り重心を支持基底面内の安定性限界に留めようとします。

戦略の他にも様々な方法でバランスを保っています。

  1. 予測的姿勢制御(APA)
  2. パラシュート反応、立ち直り反応
  3. フィードバック・フィードフォワード

などなど

両脚立位と片脚立位の筋活動の違い

片脚立位と両脚立位では、体重の支え方やバランスの取り方が異なるため、筋活動にも違いが見られます。

相違点を理解しておくことが片脚立位のトレーニングを行う上でポイントになるはずです。片脚立位を調べるにあたり、色々な文献を読みました。参考にした文献は下記にまとめておきます。

  • 片脚立位の立脚相と遊脚相で働く筋肉が違う。
  • 立脚相では下肢の筋肉(特にハムストリングス、中殿筋)と体幹筋の筋活動が高まる。
  • 遊脚相では体幹筋の中でも脊柱起立筋軍の働きが高くなる。

片脚立位の立脚相

体幹部では頚部脊柱起立筋、腰部多裂筋、腹直筋、外腹斜筋、内腹斜筋で優位に筋活動が高くなります。

胸部脊柱起立筋、腰部脊柱起立筋では有意な差は見られなかったようです。

下肢では下肢後面の筋肉の活動量が高まり、その中でもハムストリングスと腓腹筋の活動が片脚立位保持に関わっているようです。

また、文献によると腓腹筋は時間経過で変化が起きませんでしたが、ハムストリングスが疲労してくると、片脚立位保持が困難になっていくようです。

股関節では前額面の安定を保つためには股関節外転筋(中殿筋)の働きが重要になってきます。

片脚立位の遊脚相

体幹部では頚部脊柱起立筋、胸部脊柱起立筋、腰部多裂筋、腹直筋、外腹斜筋で優位に筋活動が高かくなります。

立脚相では働いていた内腹斜筋は優位ではなかったようです

このことから内腹斜筋は体幹を支えるのではなく骨盤が落ちないように働いている可能性があります。

トレーニング方法

今回の記事から片脚立位を安定させるためにはどんな筋力トレーニングを行う必要があるのでしょうか?

主要姿勢筋トレーニング

片脚立位保持をする前提として上記で挙げた主要姿勢筋の筋力が保たれているかを確認する必要があります。私の経験上、頸部筋や脊柱起立筋の働きが低下している人が多い印象です。理由としては、日常生活で「身体を伸ばす」や「身体を反る」ことをしていないからです。

頸部筋や脊柱起立筋が弱化してしまう理由には「座っている時間が長い」こともあります。

社会人の場合

  • 仕事で長時間座っている。
  • デスクワークが多ければだんだんと身体は前傾して背中が丸くなる。
  • 学生時代より運動不足になり、身体を大きく動かす機会も減少。

高齢者の場合

  • 加齢による身体の衰えにより筋力の低下や柔軟性低下。
  • 行動がパターン化してしまい、運動習慣があっても前進は動かせていないことがある。
  • 体力低下により、座って行う趣味・活動が多くなる。

反対に、下肢の筋肉は通勤や散歩で意識しなくても使っていることがあります。つまり、日常的に動かせている筋肉と動かしていない筋肉がはっきり分かれてしまっているのです。

具体的なトレーニング

主要姿勢筋の具体的なトレーニングは体幹筋はうつ伏せでの上体反らしや座位での体幹伸展運動がおすすめです。余裕がある場合は重りを使って上記のメニューを行うことで鍛えることが出来ます。

ハムストリングスや腓腹筋などの下肢筋はスクワットが良いですが、スクワットはフォームを間違えると膝か腰を痛める可能性があります。そのため、高齢者や筋力が低い人にお勧めするのは椅子からの立ち座り練習です。

片脚立位保持のためのトレーニング

片脚立位保持をするためには体幹筋の強化は必須です。身体を支えるために働く筋肉には四つ這いトレーニングがおすすめです。高齢者の場合は四つ這い姿勢を保ち続けるだけでも大変ですが、年齢や筋力に応じてレベルを調整していきましょう。

四つ這いトレーニング(私が勝手に段階をつけて行っています)の参考

レベル1:体幹筋が弱く保持が困難な場合は四つ這い保持のみを行います。

できれば顔を上げて保持します。

レベル2:四つ這い保持ができるのであれば一側上肢または下肢を挙上して3点で姿勢保持をします。

この時に体幹や骨盤が回旋や傾斜をしないよう意識をします。

レベル3:片側の上肢と対側の下肢を挙上させます。

レベル4:挙上して上肢または下肢を動かしながら姿勢は保持します。

さらに余裕があれば支持面をバランスクッションやボールで不安定にすることで体幹筋をトレーニングすることが出来ます。

下肢で考えると股関節の外転筋群やハムストリングス、腓腹筋のトレーニングが必要です。トレーニングとしては立位で行うことをおすすめします。

片脚立位の支持側での筋力が保持に関わってくるので、OKC(Open Kinetic Chain)よりもCKC(Closed Kinetic Chain)で働きます。

そのため、トレーニングも横歩き立位股関節外転運動がCKCトレーニングであるためおすすめです。

高齢者の場合は手支持で安全に行えるようにすることで股関節外転運動に意識を集中することが来ます。

若い人の場合はバランスクッションなどを用いて接地面を不安定にして行うことで鍛えることが出来ます。

ハムストリングスは主要姿勢筋のトレーニングと同様にスクワットまたは立ち座り練習が良いでしょう。

終わりに

片脚立位が保持できるようになることで体幹筋があり、バランスが良いということになります。今回の記事では立位時の筋肉の働きやバランスを保つための方法を解説し、片脚立位のトレーニング方法をお伝えしました。

今回の記事で片脚立位について詳しくなり、運動をすること、または運動を伝えることが楽しくなって貰えると嬉しいですね。

もっと勉強したいという人は下記の記事を読んでください。また、オンラインセミナーであるリハノメを活用することで家にいながら有益な情報を得ることができます。早速登録しに行きましょう。

なぜ中殿筋が片脚立位に必要なのかを考えてみる【バイオメカニクス】今回は、なぜ中殿筋が片脚立位保持に必要なのかをバイオメカニクスの観点から伝えていきます。 結論から言うと、中殿筋は片脚立位時に股関節を安定させるために重要であり、体重の約2倍の股関節外転筋力が必要です。...

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これからも臨床で疑問が出れば調べて記事にしていきたいと思います。

以上、「【運動学から学ぶ】片脚立位トレーニング方法」でした。

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aokazu
理学療法士10年目 整形外科クリニックで理学療法を行ってます。 今まで働いてきて思ったことや感じたことなどを伝えていきます。 私の疑問があなたの疑問を解決できることを目指していきます。