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理学療法

【リハビリあるある】継続できるセルフトレーニングを指導する方法

理学療法士のあおかずです。

都内整形クリニックで働いています。

外来できた患者さんにセルフトレーニングをお伝えすると、こんな質問が来る時がありませんか?

「一日のうちでいつ筋トレしたほうがいいですか?」

この質問にはっきり根拠を持って答えられる自信はありますか?

もしなければ今回、調べてきたのでそのまま読み進めてください。

そして、トレーニングの指導の方法もまとめてきました。

結論から言うと、時間帯ではなく継続ができるかどうかが大事です。

つまり、適切な運動負荷量と頻度で継続して行えるよう指導していくことが必要です。

いつもの基礎運動学をベースに書いています。

そして、今回新たに参考にした本はこちらです。

それではどうぞ!

筋トレを行う効率の良い時間帯とは?

早速本題に行きますが、実は筋トレはどの時間帯に行ってもさして大きな効果が得られないのです

強いて言うのであれば、食後や睡眠前に行ってしまうと筋力以外で問題点が生じてくる可能性があります。

食事では消化・吸収の問題、入眠前では睡眠の質の問題です。

食後の場合

食後は消化器系が活発になり食べ物を吸収して栄養を取り込んでいるタイミングとなります。

この時間帯は消化器系の機能を存分に働いてもらうため、平常と比べ内臓の血液量が増えます。

このタイミングで筋トレを行い、筋肉に血液量を増やしてしまうと内臓への血液が不十分となり、消化・吸収の機能の働きが弱くなります。

筋力の素である栄養がなければトレーニングをしても効果が得られません。

そのため、運動は食後30分~60分は時間が空けましょう!

睡眠前・・・

睡眠時には自律神経である副交感神経が優位に働いています。

副交感神経はいわゆるリラックスしている状態です。

リラックスの反対は興奮している状態で交感神経が優位に働いています。

寝るときは副交感神経が働いてほしいので、トレーニングをして交感神経が働いてしまうと寝つきが悪くなってしまいます。

特に午後10時~午前2時は脳のゴールデンタイムと呼ばれ、成長ホルモンの分泌が活発になります。

運動は眠る1時間~2時間前までにしましょう!

脳のゴールデンタイムについては↓の記事に書いています。

以前の記事はこちらから

余談ですが、寝る直前はストレッチを行うことで副交感神経が働いて眠気を催すことができます。

トレーニングを行う時間帯というよりはトレーニングを継続し続けることが一番効率の良いことなのです。

筋力トレーニングの基礎知識

最大のトレーニング効果をもたらすためには、最適の身体運動を選択すること、トレーニングの質と量を適正にすることが重要となります。

基礎知識を理解しておくことで適切なトレーニング指導が行えるようになります。

最大に効果を上げるために考慮すべき10の原則

運動に関連した筋肉の機能は大きく分けて3つに分けられます。

  1. 筋力(と筋持久力)
  2. 持久力(心肺機能)
  3. 柔軟性

上記の3つを効率よく機能向上させるためには10個の原則・原理を理解している必要があります。

それでは1つずつ見ていきましょう。

1.過負荷(overload)の原則

トレーニングの効果が出るためには今の生活よりも強い負荷がかかる必要があります

つまり、いつも行っている日常生活はトレーニングではないのです。

普段の生活よりも強い負荷をかけるために筋力トレーニングを行う必要があるのです。

2.特異性の原理

トレーニングの効果は、刺激を受けた体力要素だけに現れます

つまり、筋力トレーニングは筋力のみが、ランニングは体力のみに効果があります。

DeLormeの原則とも言われています。

3.頻度

連続あるいは非連続性の有酸素運動では、1日12~60分が至適なトレーニング時間と言われています

運動歴の少ない人には低~中等度の運動強度で、長時間の運動が望ましいです。

1週間に3~5回の頻度で実施できると良いです。

4.転移

筋力、持久力、柔軟性のうち1つの機能を意図的に強化していても他の機能も強化することがあります

5.トレーニングの可能性

個人の能力、遺伝的要素、年齢などによって、トレーニングで増強される体力の可能性、適応の限界があります。

6. 随意刺激

トレーニング効果を期待する場合は筋の随意収縮による身体運動が必要です。

電気治療やマッサージだけでも筋肉は動きますが、意識的に動かさないと効果的ではないということです。

7.漸進性

筋力強化において最大負荷のトレーニングを続けると、次第に筋力が増大して、今までの負荷量が最大値でなくなります。

トレーニング効果を維持するためには、今までよりも負荷量や頻度を増やしていく必要があります。

8.過剰トレーニング

過剰なトレーニングは身体的にも精神的にも慢性疲労の状態に陥ります

解決方法は一時的にトレーニングを中止するか、運動量を減らして、休む時間を作ることです。

過剰トレーニングによる疲労は、回復に数週間~数か月かかることもあり、低トレーニングよりも大きな問題となることがあります。

9.動機づけ

トレーニングは負荷がかかるため、努力を要し、疲れます。

トレーニングを継続することは決して簡単ではないのです。

解決するためには明確な目的意識を持つことです。

継続して効果が現れてくると精神的な達成感が得られていきます。

10.個別性の原理

体力、性別、年齢、熟練度など個人差があり、個人差を考慮したトレーニングを行うことで、効率の良い効果が得られます。

セルフトレーニングの指導方法

外来でリハビリを行っている私としてはセルフトレーニングを行ってもらうことが大事だと感じています。

上記であげたトレーニングの原理・原則からどのようなに指導していくのか考えていきましょう。

大きく分けると高齢者と若年者では指導内容は変わっていきます。

また「トレーニングの可能性」でも書いたように様々な要素によって効果が異なります。

高齢者の場合は軽負荷、高頻度でながらで行えるメニューを伝える

多くの高齢者の場合は加齢による筋力低下や柔軟性低下、耐久性の低下が問題となっています。

そのため、高負荷の運動ではすぐに疲れてしまい、継続が難しいです。

個人の因子(運動習慣や趣味など)を聴取し、どうしたら運動が続けられるかを考える必要があります。

例えば、散歩は毎日行えているのであればその習慣を利用しましょう。

毎日同じ散歩だと「頻度」や「動機付け」は行えていますが、「漸進性」と「過負荷」がクリアできておらず筋力トレーニングとしては効果が不十分な可能性があります。

そのため、ただ散歩するのではなく、速足で歩いたり、歩幅を大きくして歩くなどの変化をつけるよう提案しましょう。

変化があることで刺激となり、筋力トレーニングの効果が現れていきます。

今度は、家でゆっくりしている人の場合は「ながら運動」を提案しましょう。

例えば、日中はテレビを見て過ごす人の場合を想定するとテレビを見ている時に身体を動かすトレーニングを伝えましょう。

テレビを座ってみている時間が多いと聞いたら座って行える筋力トレーニングを伝えましょう。

また、横になってテレビ見ている場合は臥位での筋力トレーニングを伝えましょう。

上記のように考えてみるとやはり筋トレを行う時間帯というよりはいかに継続できるかが大事というのが分かりますね。

若年者の場合は短時間で効果的なメニューを伝える

学生や会社員などの若年者の場合は、どちらかというと「(運動をする)時間がない」という悩みを多く聞かれます。

そのため、高齢者のような軽負荷で長い時間のトレーニングよりも短時間で高負荷の運動を指導していく必要があります。

高負荷の運動の場合、間違ったトレーニング方法で継続していると目的以外のところに過剰な負荷がかかってしまい、痛みが引き起こされる場合があります。

我々セラピストはトレーニングの指導の中でしっかりとフォームを学習させる必要があります

正しいフォームが身に付くことでセルフトレーニングでのケガが減り、効果的なトレーニングにもなります。

おまけ:書籍紹介

この記事でも参考にしましたが、一般書籍の筋トレの本も分かりやすくトレーニング方法を学ぶことができます。

専門書ではなく一般書籍で学ぶことのメリットは素人に説明する時に役立ちます。

意識しなくても専門用語を使ってしまうと、相手は分からなくなるため、なるべく簡単な言葉で説明できるために、読んでおくと参考になります。

下にリンクを張るので、興味のある方は読んでみてください。

筋力強化の教科書

おわりに

いかがだったでしょうか?

今回はよく質問されるあるあるシリーズで「筋力トレーニングの時間帯」について書いてみました。

おさらいとしては

トレーニングは時間帯ではなく、継続できるかが大事

10個のトレーニングの原則・原理を理解する

個人に合わせた効果的なトレーニングを指導していくことが大切な仕事

です。

これで質問も答えることができますし、トレーニング指導も適切な量と頻度で行えるはずです。

以上、【リハビリあるある】継続できるセルフトレーニングを指導する方法でした。

ABOUT ME
aokazu
理学療法士10年目 整形外科クリニックで理学療法を行ってます。 今まで働いてきて思ったことや感じたことなどを伝えていきます。 私の疑問があなたの疑問を解決できることを目指していきます。