動作分析なんて絶対ムリ
これは学生時代に私が思っていたことです。
大学の先生は少し動作を見ただけで問題点を見つけ出していました。
「そんなこと自分に出来るわけない」と思いながらも、理学療法士として働いて8年目になっています。
まだまだ成長する必要がありますが、動作分析能力は高まってきた実感はあります。
今回は動作分析が苦手な人へアドバイスする記事となっています。
結論から言うと①理想の姿勢・動作パターンを理解する、②動きはじめと終わりをみて動作を予測する、この2つがポイントです。
この2つのポイントを踏まえたうえで動作分析の経験を積んでいくと分析能力が上がっていくでしょう。
勉強法~2つのポイント~
はじめから動作を見て問題点を見つけられる人はいないです。
動作分析はたくさんの動きを見て経験を積んでいく必要があります。
動作分析をする前に2つのポイントを知っておくことで問題点を見つけだせるでしょう。
理想の姿勢・動作パターンを理解する
問題点を見つけるためには正常な姿勢・動作を知っておく必要があります。
正常な姿勢・動作と対象者の姿勢・動作を比べて相違点を見つけることで問題点を見つけることが出来ます。
小見出しで正常ではなく「理想」としている理由としては健康な私たちでも教科書に記載されている動き方をしているわけではないからです。
そのため、個人的にですが正常ではなく理想として表記させていただいています。
理想(正常)な姿勢を知らない場合は動作の勉強の前に座位や立位の姿勢から優先して知識をつけるといいでしょう。
なぜなら、動作は姿勢の連続の変化だからです。
起き上がりには臥位姿勢→座位姿勢
立ち上がりは座位姿勢→立位姿勢
歩行は立位姿勢のみですが、起き上がりや立ち上がりとは違い「移動」して立位姿勢をとります。
これは2つ目のポイントも関係しています。
動きはじめと終わりをみる
何も準備せずに動きを一部始終をみて分析するのはかなり困難です。
そのため、動き出す前の姿勢と終わった後の姿勢を評価・分析して動きの予測をしましょう。
例えば、歩行の動作分析をするときに動作の一部始終を見て問題点を見つけようとしても一歩行周期(踵接地から次の同側踵接地まで間)は1秒程度で終わってしまいます。
私も学生の頃は問題点が足なのか、体幹なのか、それ以外なのかも見当がつかなかった記憶があります。
なぜなら、分析しようとしてもどんどん姿勢が変化しているからです。
そのため、入ってくる情報が多くて処理が出来ないのです。
2つのポイントを用いた分析
紹介した2つのポイントを用いた例を挙げてみます。
歩行分析での例
上の画像の人が「歩くときは不安。」という訴えがあるとします。
動き前の姿勢を分析します(ポイント②の予測の準備)。
画像上での特徴は円背により頭部が前方へ偏移しています。
また前後のバランスをとるために膝も屈曲位をとっています。
この姿勢のまま歩き始めると仮定すると膝が屈曲したまま立脚期を迎えると予想が出来ます(ポイント②の予測)。
理想の動きでは立脚相初期から中期(IC~Mst)は膝関節に関与するハムストリングスと大腿四頭筋が働き動的安定性を生み出しています(ポイント①)。
また立脚後期(Tst~Psw)では腓腹筋やヒラメ筋の足関節底屈筋群が働き下腿が急激に前方に移動するのを制御しています(ポイント①)
膝の屈曲位が強い場合は理想よりハムストリングスは短縮位、大腿四頭筋は伸張位となり筋の収縮が弱くなってしまうと予測できます。
また立脚後期での腓腹筋も伸張位となり、筋の収縮が弱くなってしまうと予測できます。
そのため、各立脚期が不安定となりやすく、どのような代償をとっているか着目することで歩行の問題点を見つけることが出来るのです。
終わりに
動作分析が苦手な人に送るアドバイスは2つです。
- 理想の姿勢・動作パターンを理解する
- 動きはじめと終わりをみて動作を予測
私は分析の経験が少ないころに1分間歩き続けてもらっても全く問題点を見つけられませんでした。
動作を評価・分析するために自分なりに試行錯誤した結果、この勉強方法を見つけました。
この記事を読んでから早速取り組んでいきましょう。
以上、私の勉強法【動作分析編】をお伝えしました。